ひとりで練習する時は譜面台を高くしましょう

2021年5月3日

初心者のみなさん、一人で練習をするときの譜面台の高さって気にしたことありますか? 

有名なチェリストの演奏会で見る譜面台の高さと同じ位にしていますか?それとも、オーケストラの演奏会でよく見る譜面台の高さぐらいにしてますか?

もしそうなら、一度試しに思いっきり譜面台を高くしてみて下さい。いい姿勢がキープしやすくなり、もっといい音が出ます。

チェロの演奏会ではたいていの場合、譜面台を低くします。ヴァイオリンやヴィオラと違ってチェロはまっすぐ客席に向かって座りますので、譜面台が高いとせっかく楽器から出てきた音が譜面台にぶつかってしまうようになりますし、お客様から奏者の表情も見えません。

また、オーケストラでは演奏中、奏者同士が常にお互いの様子を目で見ています。目と目で直接合図を出しあったり、各セクションのトップやコンサートマスターの表情や動きを自分の譜面を見ながらでも常に目の端っこで見ています。室内楽と呼ばれる、少人数でのアンサンブルでも同じです。

こんな理由から、チェロの演奏会や合奏では譜面台が高いとそれが邪魔になってお互いが見えにくくなるので、譜面台は高くしないようにします。

でも、皆さんが家で一人で練習する時は、レッスンで普段から「弾いているときの姿勢が悪い」と先生から指摘されている方は特に、いちど譜面台を高くしてみてください。これだけでいい姿勢をキープしやすくなります。

ではここで、譜面台の高さの違いで奏者の姿勢がどれぐらい変わるか比べてみましょう。


上の写真は、よく見かける譜面台の高さです。低い位置の楽譜をよく見ようとして、背中が丸まっています。この姿勢では右手も左手もチカラが入りません。


次は目の高さにまで譜面台を高くしてみました。(もっと高くてもいいですよ~)

姿勢がよくなりましたね。こちらは、目の高さに楽譜があるので、頭を起こして体幹をしっかり使って弾くことができます。

この姿勢なら、次の瞬間「ff」(フォルテシモ・・「f」フォルテよりもっと大きく)と書いてあってもすぐに対応できます。

体幹を使って弾くことができると大きな音を出し続けても疲れません。

「姿勢、姿勢!」と指導者から指摘され続けている方は多いと思います。「座って演奏する」のは本当のことを言うと「立って弾く」より難しいです。

ヴァイオリン奏者も「座って弾くより立って弾く方が音を出しやすい」と言います。全身を自由に使えるからです。

ところが、私達チェロ弾きは下半身の動きを制約されている分、体幹を上手に使うのが難しいのです。

「譜面台の高さ」(ぐらいのこと!?)で演奏が楽になるなら、試してみない手はないですね。