エンドピンが演奏中に滑ってしまいます

2020年5月30日

普段はちゃんと床に刺さっているエンドピンが演奏中に何かのはずみで滑ってしまうことがありませんか。

  •  なぜか演奏中に、それも大切な本番で滑ってしまった
  •  重音で左指にチカラが必要なところなのに楽器が滑ってしまって失敗した
  • 「ここぞ」というところで大きな音を出そうとして弓に圧力をかけたとたんにズルっと滑ってしまった
  • エンドピンの先はしっかり尖らせてあるし、エンドピンストッパーも普段なら滑らないので、エンドピンストッパーのせいではなさそう

と、エンドピンが突然滑る原因がわからず困っておられる初心者の方からお尋ねがありました。

今回はこの原因になりそうなことを2つ取り上げようと思います。

知らず知らずのうちに膝で楽器を裏から持ち上げてしまう

ひょっとして、教室の発表会など、とっても緊張する場で演奏をするときだけ滑ってませんか。

1. 緊張すると太ももにチカラが入りやすくなります。

2. 太ももにチカラが入ると知らず知らずのうちに膝が持ち上がってきます。緊張してくると、床にしっかりついていたはずの足の裏が「つま先立ち」になるときもあります。すると、同じように膝が持ち上がってきます。

3. 持ち上ががってしまった膝で楽器を裏から押し上げてしまうので、エンドピンの先が床からはずれ、楽器が滑ります。小柄な方で常に左膝が楽器の裏板に当たっている方には起こりやすいハプニングです。

日頃の演奏姿勢が悪い

ひょっとして、ファーストポジションで、重音を弾こうとするときや、指を大きく開く動作をしようとするとき、大きな音を出そうと思いっきり弓に圧力をかけるときだけエンドピンが滑りませんか。

次の2枚の写真を見比べて下さい。

悪い例:楽器を胸で押し出していない。背中が丸くなっている。

背中が丸まった状態では、指板に圧力をかけようとすると、さらに背中が丸まってしまいます。この時、楽器と体の接点は主に「脚」になります。

ですから、思いっきり左指で指板に圧力をかけると、脚を「支点」にして「シーソー」のように楽器の下部=エンドピンが跳ね上がってしまいます。

また、弓に思いっきり圧力をかける動作をするときに、楽器の上から体重をかけようとして「指板に顔を近づけ、上からのしかかるクセ」のある方の場合も、同じ理由からエンドピンが跳ね上がってしまうことがあります。

良い例:演奏中に体幹が使えているので、胸で楽器を裏から押し出している

チェロ演奏の基本姿勢:体幹を使い、肩甲骨を寄せて、胸で楽器を裏から押し出すようにしています。

この姿勢なら、楽器と体の主な接点(支点)は胸です。ですから、どれだけ指板に圧力をかけても楽器の下部(エンドピン)が跳ね上がることはありません。

弓で弦に圧力をかけるときも、楽器の上で腕立て伏せをするようにして圧力をかけると演奏者の背中が丸まりませんので、どれだけ圧力をかけてもエンドピンが跳ね上がることがありません。

 

いかがでしたか。

あなたのエンドピンが滑る原因に思い当たる節はありましたでしょうか。