弓をまっすぐ動かす練習【その2】弓の真ん中~弓先近く

2020年8月15日

今回は、「弓をまっすぐ動かす練習」の第2回です。(第1回はこちら>>

前回、ダウン弓をまっすぐに動かすには「胸を広げること」が大切ですというお話をしました。そして、ダウン弓のときの胸と肘の開き方も練習しました。

弓をまっすぐに動かすことに慣れるために楽器に取り付けて使う「弓の動きを矯正できる装置」が市販されています。

ですが、もっと手軽に「まっすぐ動かす」感じをつかんでいただける、「ラップの筒芯」を使った方法を思いつきました。今回はそれをご紹介します。

今あなたの台所にある使いかけの「食品用ラップフィルム」でOK。ただし、筒の穴に弓を通すことができるだけの太さが必要です。芯の長さは長いほどより矯正力があります。

ラップ材を使い終わった「紙筒だけ」が手に入れば一番良いですが、現在使用中のしか無ければラップ材を痛めないように、紙箱から出してからラップ材の上から紙で一巻きしてください。そうすればボーイングの練習をするときだけ拝借でき、あとでまた料理に使えます。

市販の装置は器具をつけたまま実際に弓で音も出せるのですが、ラップの芯を使った練習では市販の装置と違って音が出せないので、ボーイングにだけ集中して練習できます。

この方法はチェロだけではなく、同じ弦楽器のヴァイオリンでもちょっとアレンジしていただければ使えます。

これをつけると誰でも「弓をまっすぐに動かすことしかできない」ので、私の教室の生徒さんたちには好評です。

 

さて、全弓と一口に言っても、「真ん中より少し先」、「弓元」、「弓先」で腕や手首の使い方が違います。そこで、それぞれの場所を分けて練習しましょう。

今回は「弓の真ん中より少し先」のあたりの弓の動かしかたを練習します。

準備

1. 写真のようにラップの芯を弦に直接、輪ゴム2本で取り付けます。

取り付け方に決まりはありませんが、ぐらぐらしないように輪ゴムでしっかり固定します。練習したい弦の真上に筒がくるように工夫してください。(ラップの芯のつけ方はこちら>>写真の例では、D線とG線の中間を弓が動く位置に固定されています。

2. さらに駒と指板の真ん中に筒がくるような位置に固定します。

3. 弓を芯の穴に通します。

4. 筒と弦とが直角になっているか、最後にもう一度、横から目で確かめてください。

 

さて、今回練習する「弓の真ん中より少し先」とは・・前腕と弓とがだいたい直角になるところです。

ここは大きく手首や肘の関節を使わなくても、脇の開け閉めでだいたい対応できる範囲です。

簡単そうですが、ここにもじつは落とし穴が隠れています。

筒の中に通した弓を動かしてみましょう

では、筒の中の弓をダウンの方向やアップの方向に動かして見ましょう。弦に取り付けたラップの筒がぐらぐらと動いてしまいませんか?

弓がまっすぐ動いているときは、筒はぐらぐらしません。筒がぐらぐらする=弓がまっすぐ動いていない原因は、ダウン弓のときに充分に脇が開いていないからです。

筒がぐらぐらするときは肘がほとんど動かず、前腕が肘先を中心に弧を描くように、体の後ろ側に向かって回ってしまっています。

さ~てどうすれば良いでしょう?

そうです!「胸を開く動作」をここで使ってください。

1. 弓と前腕がほぼ直角を保ったまま弓がダウンの方向に動くように、思いっきり胸を広げて肘を横に広げます。

これ以上いくと肘を伸ばさなければならなくなるところ、ギリギリまでダウン弓を弾いてください。今回はそこまでで止めます。肩幅の広い大柄な方だと、ほとんど弓先までこの体勢で行けてしまいます。

肘を曲げていられるこの体勢が一番楽に弦に圧力をかけられます。肩幅の狭い華奢な方こそ胸を広げて、少しでも長い距離を肘を曲げたままの体勢で行けるように練習しましょう。

2. 筒がぐらぐらしないように。どうすれば弓をまっすぐ動かせるか自分の体の使い方を工夫してくださいね。

次回は弓元を練習しましょう。
次へ(弓をまっすぐ動かす練習【その3】弓元)>>