もっと大きな音を出したい!もっとアクセントをつけたい!

2020年1月8日

楽譜にアクセントや ff などが書いてあり、とても大きな圧力を持続的にまたは瞬間的に弓にかけたいときがありますね。低音の魅力いっぱいのメロディを弾くときも弦に大きなチカラをかけ続けることが必要です。

もともと腕力に自信のあるかただけでなく、指や腕にさほどチカラのないかたにでもカッコイイ、太い、パワーのある音が出せる方法があります。

ちょっとした体の使い方なんですが、これができるとびっくりするぐらいすぐに音が変わります。ぜひ今回ご紹介する方法をお試しください。

もしあなたが何かのスポーツ経験者なら、今からお試しいただくこの体の使い方と全く同じ動作を、あなたの体が覚えていると思います。テニスだと「横に来たボールは軸を立てたまま打たないと手打ちになりますよ」というアレ、野球だと「投げるときは胸を張れ」というアレです。

アスリートの間ではこのことはもう当たり前のこと。競技を始めるときには「基礎的なフォーム」として必ず習います。

チェロを弾くということはいかに効果的に体を使うかという点においてはスポーツと同じです。これを知れば、あなたのチェロの音がすぐその場で変わります。

もっと大きな圧力をかける練習

1. まず、体の支えを作ります。

丹田に入れたチカラで上半身をすっと真っすぐに持ち上げ、胸は柔らかく広がった状態です。肩甲骨も柔らかく背中の中央に寄っています。腰は真上に伸びます。上半身のチカラ、特に肩のチカラは抜きます。

使いかけのマヨネーズのチューブを下から押して容器を立てるイメージを思い出して正しく座ってください。復習する方はこちら>>

2. チカラを入れる前の体の準備ができたら、弦の上に「弓元」を置き弦に圧力をかける準備をします。

3. 座ったまま、弦の上で腕立て伏せをするように腕を突っ張ります。

前回まではここで座面の真上に体を伸ばしましたが、今回はもっと積極的に弓に圧力をかけていきます。やり方は、

  4. 腕にかかった重みはそのままで、右の腰骨を右膝頭の方向にぐいっと突き出します。 

こうすることで体重がさらに弓にかかります。持ち上げた上半身をさらに前に突き出す感じです。

ダウン弓で弓元からスタートする、大きな音やアクセントをつける音を出すときに有効です。


 この写真が悪い例です。頭だけ前に出すと腰が曲がり、丹田の力が抜け、胸が閉じ、背中が丸まってしまいます。楽器の上にのしかかるような感じです。

弓と楽器に体重をかけられていかにも大きな音が出そうですが、実際は腕力だけに頼った弾き方になってしまい、押しつけられた、汚い、うるさい音が出ます。


次の写真のように、あくまでも胸を張り、肩甲骨を寄せて、丹田に力を入れ、体幹はまっすぐしっかり立たせたままです。

右足の上に踏み込み、背筋を伸ばした姿勢のまま、楽器の右斜め上にあなたが立ち上がろうとするイメージです。

ダウン弓で音を立ちあげるときは、右前方に楽器を腰で押しだし、腕と体幹とで楽器を挟み込みながら、上体を右斜め前の「3階席のお客様」の方向に伸ばします。

アップ弓で音を立ちあげるときは、左前方に楽器を腰で押しだし、腕と体幹とで楽器を挟み込みながら、上体を左斜め前の「3階席のお客様」の方向に伸ばします。

 

弓を動かす動作は腕だけではありません。足腰からくるチカラで動かしてくださいね。

そう言えば、「足の裏はちゃんと床につけなさい」ってよくレッスンで指摘されてますね。アイススケートをしたことがある方は、椅子に座ったまま「エア・スケート」をやってみると下半身と上半身の連携が理解しやすいようです。足の裏でしっかり氷をとらえ前へ伸びていくイメージです。お試しください。