開放弦を使ったチューニング【その2】たとえ左手が難しくてもチューニング専用の音をキープ

2021年5月2日

「この五度、合ってない気はするけど、高いのか低いのかわかりません」

チューニングのときなどに、そう思ったことはありませんか。

「五度」とは、隣り合った開放弦2本の音程の幅(2つの音が並んでいる距離)が、「5」という幅になっているということです。こちらも参考に>>

 前回までやってきた「フラジオレットを使ったチューニング」では、2本の弦を全く同じ高さの音にそろえていくので、ビギナーの方にもわかりやすい。

でも五度の響きを作ってチューニングする方法は、ちょっと難しい。でも、これができないと今後、音程を正しくとる練習もできません。

「チューニングはフラジオレットを使うから、大丈夫っ」というかたも、この五度をきれいにとる練習は マストですよ~ !

今回から数回の連続講座できれいに合った五度を聞き分けるための練習方法をご紹介します。 なお、この練習をするためには、次の「ワザ」がすでに身についている必要があります。

<<左手を動かしても、右手のチューニング用のボウイングが崩れないこと。>>

  今回はこれがテーマです。

つまり、どれだけ左手を動かしたとしても、きれいなチューニング用の音を出し続けることができないと 五度を使ったチューニングはできませんよ~ということです。

実際のチューニングでは、右手で弓をきれいに動かしながら同時に、左手は思いっきり力を入れてペグを回したり、遠いところにあるアジャスターを回したりしなければいけません。

その上、ペグやアジャスターを回す動作は特殊なので、楽器を構える体勢は普通にチェロを弾く構えかたとはずいぶん違います。

左手に気をとられると、弓がブルブルふるえたり、弓がまっすぐ(いつも弓が弦と直角に交わっているように)動かなかったりするようではダメです。  

また、チューニングするときの弓を使う「場所」・「スピード」も大切です。

慣れてきたら チャチャッ とチューニングを終わらせることができますが、ビギナーのかたはゆっくり時間をかけて、「正確さ第一」でチューニングしましょう。すぐに慣れてプロみたいにカッコイイ チューニングができるようになりますから、ぜったいに。

 

さて、ビギナーの場合、よくある間違いはこれ。

弓の根元を使って大きな音を出してしまう

 ・チューニングするときの弓の動かし方が速すぎまたは遅すぎ

 ・使う弓の長さが短すぎ

 ・弓のスピードが変わってしまう。弓の向き(ダウン・アップ)にかかわらず、弓のスピードが初め速くて、あとですぐ遅くなる

  

ビギナーにおすすめのチューニングするときの弓の動かし方はこうです。

1. 使う弓の場所は弓の真ん中30cmぐらい。弓の根元ではありません。写真のように、これぐらいの位置からダウンボウをはじめてください。

2.  弓のスピードは秒速15cmぐらい。意外とゆっくりです。

3.  ダウンとアップの片道2秒ぐらい、往復で4秒ぐらい動かしましょう。意外とたくさんです。

4.  いつも同じ速さで動かすことも均質な音を出すコツです。弾き始めだけ速くて後半に減速するのもダメです。「力まず」、「すうっと」、同じ速さで、「弓を流して」ください。