フラジオレットの音がきれいに鳴りません【その1】

2020年11月25日

 まだ5度の音程を聞き分けるのが難しいビギナーの方にも比較的簡単にチューニングができる方法として、「フラジオレット」を使った、同じ音程の音2つを比べる方法をご紹介しました。こちら>>

でも、フラジオレットの音がきれいに鳴りません。音程も定まりません。というご質問が寄せられました。

フラジオレットとは 左指で弦を指板まで押し下げずに、弦に触れただけで音程を作り出す奏法です。

弦を指板まで押し下げる普通の奏法の場合、1mmでも押さえるポイントがずれただけで音程がはっきり違ってきますが、フラジオレットの奏法ではそうはっきりとは差がでません。 

1cmぐらい触るポイントがずれても「それらしい音程」で鳴ってくれます。

鳴ってはくれますが、「きれいな響き」「安定した響き」には残念ながらなりません。

では、きれいな音で安定した音程でフラジオレットを響かせるにはどうしたらいいのでしょうか?

 

<答え> 

① 左指で触る場所を「テキトー」ではなく「正しく」とる

実音(しっかり指板まで押し下げる奏法での音)で正しい音程でとって、その指を真上に指板から浮かす。

② ①の方法が難しければ、右手を使いましょう。

たとえば A線やD線の「ラ」のフラジオレットを弾こうとするとき、弓を持つ右手に伝わってくる感触に注意してみてください。

「ラ」のフラジオレットの音だけが鳴る範囲で、弓でフラジオレット音を出しながら左指をゆっくりずらしていきます。(指で弦の上を場所を変えながら撫でます。あくまでも「ラ」のフラジオレットの音が鳴る範囲で。だいたい2~3㎝ぐらいの範囲でしょうか。)

すると、音程は同じ「ラのフラジオレット」でも、左指が触れている場所の違いで、弓と弦が接触している面から伝わってくる「右手の手触り」に、違いがあるのがわかるでしょうか。

弓がざらざらとひっかかった感じで動くところと、弓がつるっと滑るように動くところと。

この、「つるっ」とした手触りで弓が動くところが左指の正しい位置です。

ここを正確に触れた時だけ、正しい音程、安定した響きでフラジオレットが鳴ります。

左指の触る位置が高すぎても低すぎても、右手はざらざらします。また、弦によっても、出しているフラジオレットの音程によっても、このざらつきの感触は違います。

右指から伝わってくる「手触り」(弓が弦とどのように接しているか)は右腕にあるあちこちの関節がどこかで突っ張っていたり、弓を握りこんで必要以上に力が入っていたりすると上手に感じることができません。

チェロを弾くときはいつも右手の「手触り」を感じようとしてくださいね。

そうすると、弓を持つ右指、右手首、右腕、右肩、右の背中がもっとリラックスできるようになってきます。