左指で弦に圧力をかける【その5】左指の押さえ方の基本

2020年8月15日

今回は、「左指で弦に圧力をかける」の第5回です。(1回目はこちら>>

前回は「正しい左手の形」を作りました。こちら>>

今回は、

1. 指を上げた状態

2. 1・2・3・4 の全部の指を使って弦を押さえている状態

この2つの状態を行ったり来たりする練習をしましょう。

「リカちゃんの手」全体を、指板に触れるところまで「斜め懸垂」の要領で動かしていきます。動かし幅は弦と指板との距離ですから、ほんの数ミリの動きです。

実際に左手を動かす前に、ここで簡単に前回のおさらいを。

まずここでもう一度

「正しい左手の形」を作った時の大切なポイントは何でしたでしょう?

そう、手の平の奥のくぼみ、アーチでした。

1本指で押さえているときも、ヴィブラートをかけるために親指を離しているときも、手の内側のくぼみをつぶさないようにしてください。

この内側のくぼみで「背中で弦を引き込むチカラ」を受け止めます。

こちらは悪い例。

1. 肘が下がってしまっているとき。

2. 適当な高さに肘があるものの、手首が下がってしまって折れ曲がっているとき

にこうなります。

手の平のくぼみ・アーチが引き伸ばされて消え、使えていないので、指のチカラだけで弦を押すことになってしまっています。

では次に順を追って、手全体を、指板に触れるところまで「斜め懸垂」の要領で動かしていきましょう。

次の写真中の細い棒を指板だと思ってください。


<指を上げた状態>
正しい丸い手(リカちゃんの手)を作り、それを楽器の指板の所に持ってきます。

ネックの裏に親指をつけ、指板(写真では細い棒)や弦から4本の指は離します。

今は体の使い方を覚えていただきたいので、指の間隔(音程)は気にせず、指を曲げてはいるものの、指と指の間隔は手に任せてリラックスさせておきます。


<1・2・3・4 の全部の指を使って弦を押さえている状態 >

さていよいよ、斜め懸垂の要領です。

ほんの数ミリの動きですが、指先ではなく体を使っていることを意識しながらやってみてください。

1. 丹田にチカラを入れ

2. 胸を広げ

3. 肩甲骨を寄せ、肩を下げつつ後ろに引きます。

4. 胸から指板の方向に近づいていきます。「肘を曲げる動作」によって手を自分の体のほうに近づけよう=指で指板を押そう、としないように。

5. 手の平のくぼみ・アーチで体重を受け止めると、弦に引っかかっている左指が指板の方向に近づいていき

6.結果、弦が指板に着きます。= 指が弦を押しています。

7. 手の平のくぼみ・アーチでチカラを受け止めていることをしっかり意識しましょう。

8. 形の変わらない「リカちゃんの手」なので、4本の指が指板に着くと親指は指板から離れます。

9. 4本の指が指板に着いたら、親指を軽く曲げてから、親指の爪の「人差し指側の横」のところで、そおっとネックの裏側に触れてみましょう。

親指は弦を押す動作には全く必要がないことがわかると思います。

弦をしっかり指板につける動作をするときの左指のお仕事は、弦を押し下げるのではなく、押しつけられるチカラに耐えて、指の曲がりぐあい・手の形をキープしようとしているだけということがわかっていただけましたでしょうか。

10. 最後に、親指はネックに触れたまま、4本指が同時に指板から離れるように体をもとに戻したり=胸が持ち上がっているのを止めたり、指が指板に着くように斜め懸垂をしたり してみましょう。

弦を押さえているときというのはリカちゃんの手の平で作った壁楽器を裏から持ち上げている胸とで楽器を挟み込むような感じです。どちらかというと「肩甲骨を寄せて、楽器を手の平の壁に押しつけにいく感じ」にしたほうが、弦を押すときに肘を強く曲げてしまわずにすむようです。 

 次回は、実際に指を入れ替えて音程を作っていくときの体の使い方です。