基礎の基礎

2019年10月22日

私の教室では、一からチェロを始めようと思って来られた皆さんにこう言っています。

「初めの三ヶ月間はちゃんとした音がでません。三ヶ月間だけはガマンしてください。」

今回はこのことをお話したいと思います。

チェロは残念ながら、ピアノみたいに鍵盤を押せば誰でもすぐ音が出せるという楽器ではありません。しかし、ちまたで売られている教則本を見ると、「弓の持ち方」や「楽器の構え方」のページに続いてすぐ「さぁ、ではD線の開放弦を弾いてみましょう!」と書いてありますね。

これを見ると誰でも「ついに、私もあの憧れのチェロが弾ける!」って感じがして胸踊りますよね。すぐ素敵な音が奏でられそうな感じです。 

でも実際やってみると、「ひ~」とか「ぎぃ~」とかだけ。。。。

 そうなんです。 

チェロは残念ながらひとつの音を出すだけでも、そう簡単ではないんですねぇ。。。あらららら。。 

 

ここで私の教室での、「D線の開放弦を弾くレッスン」を始める前のレッスンをご紹介しましょう。 

この過程にかかる時間は人によってそれぞれですが、だいたい数回のレッスンが必要です。

 1. まず、「楽器を弾く時の体全体の使い方」に慣れます。

 象さんダンス・お化けの手・ゴムチューブトレーニング などです。大人の生徒さんにやっていただくと「こんな動きいままでしたことなかったわ」と言いながら結構楽しそうにやってくださいます。

2.「体の動きと右手の動き」を連動させます。まだ楽器は弾きません。 

ラップの芯の筒を使ったエア・ボーイングが楽しい練習です。 

ただ、早くきれいな音でチェロを弾きたいと思っているのになかなか楽器を弾かせてもらえないので、気分的にちょっとしんどい時期です。

3. このしんどい時期を乗り越えるのには「グループレッスン」でチェロ友の力も借ります。 

ああでもない、こうでもないと 生徒さん同士でアドバイスしあったり、あの人も頑張っているからもうちょっと頑張ってみるか!と思えたり。

そうこうしているうちに、脱力・しなり・ため・ねちっとした手触りなどが少しづつわかってきます。

すると、D線の開放弦も楽器を持った最初から、とってもきれいに立ち上がった、よく響く音で弾くことができます。

もう、チェロを始めてからだいぶん経つ方も、時には初心に戻ってみるのもいいかもしれません。 

プロ野球の世界でも、シーズンオフに時間をかけてフォームの改善をしますね。チェロ演奏もフォームの改善をすると弾きやすさがぐ~んとアップします。初めて楽器を持った時に習ったこと、「基礎の基礎」に時には戻ってみるといいのかもしれません。