はじめて習う四分音符【その4】リニアモーターカー型ボーイングとは?
前回は「飛行機型ボーイング」(「弓を飛ばす」という奏法で使うボーイング)を絵でご紹介しました。こちら>>
今回は、四分音符を初めて練習しようとしている皆さんにまず覚えていただきたい弓の動き。次の「リニアモーターカー」の動きです。
止まっているリニアモーターカーは、動き出したあと、十分スピードが出ると車体が浮き上がります。浮くと軌道との摩擦が無くなるのでスピードが増します。そして止まるとまた地面に着きます。この時のリニアモーターカーが「弓」、灰色の軌道が「弦」です。
初心者の方が初めて習う「ゆっくりで連続した四分音符」はこちらの弓使いで弾きます。こちらは管楽器の奏法と同じ「タンギングを使った・音の立ち上がりがくっきりした」音です。
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この弾き方の特徴は:
1. リニアモーターカーは、止まっているときには地球の引力で地面に張り付いています。
⇒ 音を出す前に弓が弦を、その弦に適した深さでつかんでいます。=音を出す前にすでに、弓がその弦に適した圧力をかけています。(前回の飛行機型ボーイングでは、弓が弦に接したその瞬間はまだ圧力をかけていません。音を出していきながら徐々に弦に圧力をかけていきます)
2. リニアモーターカーは、走っている間はずっとその重さが地面に伝わり、十分スピードがでてくると浮き上がりさらにスピードが増します。
⇒ 弦が振動を始め、音の芯が十分に鳴るまでは弓で弦に程度な圧力をかけ続け、その後、弓を少し浮かし流すように動かすことで音の芯の周りに響きを作ります。
3. リニアモーターカーは、止まると地球の引力に引っ張られるように地面に張り付きます。
⇒ 弓は、磁石に引っ付くように弦に張り付き止まります。この張り付く時の圧力は 1.のスタート時と同じ、それぞれの弦に最適な圧力です。(細い弦はより弱く=より浅く、太い弦はより強く=より深く)
ではここで、もう一度リニアモーターカーの絵を見ながら弓の動きを見てみましょう。尚、この絵のリニアモーターカーの動きは、「奏者から見たダウン弓」が弦を震動させている様子です。
(説明文の番号は絵の中の番号に対応しています)
① 止まっているリニアモーターカーはそれ自身の重さで地面(軌道)に圧力をかけています。
⇒ 音を出す前にすでに、弓が弦に圧力をかけた状態で弦をつかんで止まっています。
② リニアモーターカーが動き出してもそれ以上地面にめり込むことはありません。同じ圧力を保ちながら車体は前進していきます。
⇒ 弓は①でセットされた圧力(深さ)を変えず(それ以上には押し付けません)、そのまま右に(ダウン方向に)スタートします。
③ リニアモーターカーの速さが浮き上がるのに十分な速さになるまで、同じ圧力を地面に与えながら走ります。これにはかなりのパワーが必要です。
⇒ 弦が十分に振動するまでは弓の圧力(深さ)を変えません。曲の弾き始めや移弦してきたときなど、それまで振動していなかったG線やC線などの太い弦を新たに振動させていくのにはチカラが必要です。
④ リニアモーターカーは十分なスピード出たら、車体が浮き上がり、摩擦が減ってさらにスピードが出ます。
⇒ 弦が振動を始め、音の芯が十分に鳴ったら、音の芯の周りに次は「響き」を作るために、弓が弦をつかんでいる圧力を減らし、弓を「流す」ように動かします。
⑤ 決められた時間弓が弦をこすった後、
⑥ リニアモーターカーは止まると再び軌道にその重みをかけています。
⇒弓は止まると同時に、スタート時にセットされた「その弦特有の深さ」にまでまた沈み込みます。
ここで、ちょっとご注意を:
実際のリニアモーターカーでは、スピードが落ちてきたら地面(走行する軌道)に降りてしばらくは、車輪(タイヤ)で走行してから、最後に停車します。この動作をも弓の動きで真似てしまうと、弓が止まる直前に「ガリッ」とか「ゴ~」とかいう押し付けたような雑音が出てしまいます。
この雑音を避けるには、弓の流れるような動きから一瞬で、弦の中深くに張り付いたように弓を止めなければなりません。ですから、リニアモーターカーの動きをイメージする時は、「浮く」とはいっても軌道から高く離れないで、その高さは「降りた瞬間に即停車できる高さ」とイメージしてください。
実際に弓で弾く時に弓を浮かす④の動作をする時は、ほんの少し浮かすだけです。浮かしすぎると、音の芯がなくなり音がかすれます。④の動作(音の芯のまわりに響きをつくる動作)で弓を浮かしながら流しているときも③で作った「音の芯」を失わないようにします。
いま自分の楽器から出て向こうへ飛んでいっている音がどんな芯と響きを持って飛んで行っているのかを、耳を「ウサギちゃんの耳」にして聴いてくださいね。
アップ弓ではこれの全く裏返しの動きをします。