弾き始めのガリッという汚い音を何とかしたいです【その2】

2021年1月7日

「弾き始めのガリッという汚い音を何とかしたいです」の2回目です。(一回目はこちら>>

「初心者ガリガリあるある」はいろんな場面で思い浮かびますが、今回はそのうちのダウン弓を弓元から弾きはじめるときのガリッに注目してみましょう。

 

ダウン弓を弾き始めるときに「ガリッ」という、よくある原因は:

1. 弓をスタートさせた後、いつまでも同じ圧力で弦をこすってしまっている
2. 弓をスタートさせる時、下半身が使えておらず、肩から先の腕だけで弓を動かそうとしている です。

 今回はそのうちの 1. 弓をスタートさせた後、いつまでも同じ圧力で弦をこすってしまっている によく効く練習方法をご紹介します。

(注)初めて弓を持った方が初めてボーイングを習う時は、一般に弓の重心付近を使います。これを読んでくださっている方が「弓の元(フロッグ・毛箱付近)」でのボーイングをまだ習っていないと想定して、参考写真では「ダウン弓のスタート場所」を本当の弓の元でなく、超初心者向けに「弓の重心より少し弓元寄り」にしました。弓の重心付近からダウン弓をスタートさせると、実際には「ガリッ」という音がすることはそうありません。弓の扱いに少し慣れ、弓の本当の「弓元」からダウン弓をスタートさせる練習に入るといよいよ、これからご紹介する「弓の動きはじめにタイミングよく上手に弓の圧力を抜く」テクニックが生きてきます。

ダウン弓の弾き初めに、弦にかけた弓の圧力をタイミングよく抜く練習 

1. 写真のように弓を弦の上に置きます。(少し弓の扱いに慣れてきた方で、この写真よりもっと弓元からでも弾けるようになっている方は、本当の弓元(弓の毛の一番手元)に弓を置いてください)

2. その場で(まだ弓をダウン方向には動かしません)弓を弦に沈み込ませます。

3. 弓を左右に動かさないようにしながら、真上に圧力を全部抜きます。このとき、弓の木の棒の部分の反発力を使います。弓に圧力をかけると、木の棒の部分が弦に近づき、圧力を抜くと弦から離れますね。ばねのようですね。弓の圧力が全部抜けると、弓は弦の上に「ポコン」と乗っているだけです。

注)この練習は、初めて四分音符を習う方で「い・ち・と・お  に・い・と・お」というカウントを使って練習している方 こちら>>の場合の、「と」(弓を弦の上に止める動作)と「お」(弓をこれから弾こうとする弦に最適な深さで沈みこませる動作)に当たります。


次は、いよいよ弓をスタートさせる練習です。

1. 先ほどの1.と2.までは同じですが、今度は圧力を抜く方向が違います。

2. 弦の中に沈み込んでいる弓を「右斜め上方向」に反発させます。右腕の弓への圧力を全部抜く動作は、腕全体を持ち上げるのではなく、「お化けの手」のように手首を軽く持ち上げるようにします。肘は、重力でぶら下がったままです。(こちら>>)

ではここからが、実際にダウン弓で1つめの音を出すための練習です。

3. 圧力を右斜め上方向(ダウン方向)に全部抜いた後、弓の動きの流れをすぐに止めないで、弓を弦の上を引きずるように動かし続けると、まだしっかり大きな音は出ませんが、小さいながらも音が出ますね。

4. 今度は弦への圧力の抜き方を「弓の反発力に任せて、一度に全部抜いてしまう」のではなく、少し腕の重みを弓に残してみてください。その後腕の重みを弓に残したまま、弓を弦の上を引きずるのは同じです。さっきより大きな音が出ましたね。

5. さらに、スタート時に斜めに圧力を抜く時に、「スタートと全く同時」ではなく、弓が沈み込んでいるその深さのまま、ほんの少し(1~2cm)弓で弦をこすってから圧力を抜きます。(この時の弦への圧力も一度に全部抜き切らずに、少し腕の重みを残します)この少し弦をこする動作は、弓が弦にねちっと張り付いているのを引き剥がす感じです。こちら>>

6. そして、そのまま腕の重みを少し残しながら、弓を止めずに流し続けます。どうでしょうか。はっきりすっきりダウン弓の音が立ち上がりましたでしょうか。

弓元でダウン弓を弾き始めるときは、この圧力の抜き方が大切です。

1. 弓がスタートした後、弦への圧力を抜くのが遅れると、「ガリッ」といいます。
2. 弓がスタートした後、弦への圧力を抜くのが早すぎたり、抜きすぎると、音が薄っぺらくカスカスになります。

次回は、ダウン弓を弾きはじめる時にガリッという原因の2.「弓をスタートさせる時、下半身が使えておらず、肩から先の腕だけで弓を動かそうとしている」に効く練習方法をご紹介します。

体全体使うことで、小柄な筋力のない方でもパワーのある音が楽に出せます。

お楽しみに。