「たった一つの音」これをきれいに弾きたい
先日ピアノを弾く友人が私に言いました。
「チェロって1つ1つの音を作り込むんですね。ピアノも音色を変えるためにタッチを工夫しますが、チェロを弾いているのを見ていると『たった一つの音』を作り出すためのエネルギーが違いますね。」
ピアノの人から見ればそう見えるのかもしれませんね。右手と左手と両方使ってやっと「たった一つの音」が出るだけですものね。
でも、チェロのほうから見たらピアノなんて離れ業です。一度にいくつもの音を、いくつもの声部をそれぞれ弾き分け、おまけに足のペダルも使い、(オルガンなら足でもメロディを弾き)そしてもちろん出す音一つ一つの音色を弾き分ける。
そのうえ、出した音の音量が保てないというハンディもあります。また、コンサート本番で弾く楽器は自分の練習室で弾きなれた自分の楽器とは違います。その場で新しい楽器に対応した弾き方をしなければいけません。
一度にいろんなことを即座にこなすなんてピアニストはすごいです。
そう思うと、「たった一つの音」だけでかっこいいチェロ。
だからこそ、きれいな音で自分の楽器を歌わせてあげたい。