弓をまっすぐ動かす練習【その5】駒と平行に弾く

2020年8月15日

今回は、「弓をまっすぐ動かす練習」の第5回です。(第1回はこちら>>

前回までは弦の上に筒を取り付け、その中に通した弓を動かして「まっすぐに動かすには体をどう使うと良いか」を体験しました。

もう一度おさらいするかたはこちら>>

今回はいよいよ弓で弦を弾いて音を出しながら「まっすぐに動かす」に挑戦します。

弓を動かす方向を示す「定規」があれば、初心者のみなさんが一人で練習するのに便利かと思い、写真のように棒を取り付けることを考えました。

写真の棒は直径5 mm 、長さ91 cm の木製の丸棒です。ホームセンターの材木売り場で100円ちょっとで手に入りました。

プラスチック製の園芸用の支柱もありますが、木製のほうが軽くて駒への負担が少なくてすみます。


弓先でも弓元でも、どこを使っているときも弓が平行に動いているかどうかは、長さがこれぐらいあるほうががわかりやすいです。

直径は細いほうが良いです。太いと弦と弦の隙間に入りません。棒を横にしたとき自身の重みでしなったりせず、まっすぐを保てるならもっと細くても大丈夫です。

準備

  輪ゴム一本で棒を駒に直接取り付けます。

こんなことをしたら、駒が倒れたり壊れたりしないか心配されるかもしれませんが、棒は軽く輪ゴムで止まっているだけなのでご安心ください。

もしも何か予期せぬ力がかかっても輪ゴムが伸び、駒に無理な力が加わる心配がありません。

注意!!!

ただし、練習を終わって楽器を横置きしたいときにだけは気をつけてくださいね。そのままいつものように楽器を置こうとすると棒の端が床に引っかかり、思わぬ事故につながります。

棒を輪ゴムで止める方法

D線上でボウイングの練習しようとする時を例にします。

1. 棒はC線とG線の間から差し込み、G線、D線、A線の下を通します。

これで棒はD線に対して直角になります。棒の真ん中あたりをこのように駒の裏側に当てて片手で支えておきます。

2. 駒の腕(みたいな切れ込み)の片方に輪ゴムを引っかけます。

3. 輪ゴムの端を棒の下から出します。


4. 棒の下から出てきた輪ゴムの端をさらに引っ張って、弦の上を渡します。


5. 輪ゴムの端を、今度は棒の下をくぐらせ、最後に駒のもう片方の腕に引っかけてできあがり。


棒と弓がいつも同じ距離を保ったまま、弓が棒に平行に動けば「まっすぐに動いている」ということです。

ただし、棒と弓を直接目で見てしまうと、「平行」がよく認識できません。そこで、鏡を使うとよりわかりやすいです。

鏡は自分の正面に置くのではなく、写真のように奏者の左斜め前に置きます。

奏者の真横に置くと、棒がとても短く映ってしまい「定規」としての役目が充分に果たせません。

棒が常に「弓が動くべき方向」を示してくれています。

鏡に映った棒に対して、弓がいつも同じ距離を保って平行に動いていればOKです。

「弓と駒」または、「弓と指板の端」の距離がいつも同じになるようにしてください。

弓で弾いているところが、知らない間に指板に近づいていったり、駒に近づいていったりしてはだめです。

棒と鏡を使った練習のメリット

1. 弓がねじれて動くと、鏡に映った弓先と棒との間隔が変わるのですぐ気づきます。

2. 頼りにする棒が長いので、弓のどこを使っていても、弓を速く動かしても「まっすぐ」がわかりやすいです。

3. わかりやすい定規があることで弓の動き1 mm、1 mmに対して過度に慎重になることがなく、体全体を流れるように使うことができます。

 

この練習によって「弓をまっすぐに動かすときの体の使い方」にも注意を向ける余裕がでてきますよ!

体の使い方を復習する方はこちら(弓をまっすぐ動かす練習【その1】まず、弓をまっすぐに動かせるフォームを身につけましょう)>>

次回はボウイングの練習をするときの注意点についてお話ししたいと思います。

次へ(弓をまっすぐ動かす練習【その6】弓の軌道ではなく到達地点を意識する)>>