大変です!弦が4本ともベロンベロンに緩んでます!!

2019年9月6日

練習しようとケースを開けてみたら、「わぁっ、弦が4本ともベロンベロンに緩んでる!!」ということありませんか。

寒いこの季節、初心者の方の楽器にこの悲劇が起こることがあります。ペグを触るのがまだ怖い初心者の方たちにとっては大ピンチですね。

こうなってしまうと自分でペグを扱えない初心者の方ではもとに戻すことができないので、楽器屋にもっていくか、ペグを回せる人に頼んでください。

ただ、弦が4本とも緩んでしまっていると駒がとても倒れやすい状態になっているので、楽器を動かす前に応急処置をする必要があります。

今回は、楽器ケースを開けて弦が4本とも緩んでしまっていたときの応急処置をご紹介します。(1本だけ緩んでいたり、切れている時はその弦だけを元の状態に戻せばOKです。他の弦までわざわざ緩めてしまう必要はありません。)

 

応急処置

1. 弦がどんなに緩んでいても、弦は4本とも駒の溝の上に乗せたままにしておきます。この時の音程(弦の張り具合)はユルユルでかまいません。

2. 元の音程に自分では戻せないならそれでもいいので、少しだけペグを巻き上げてユルユルの弦を少しだけ張った状態にします。(ここでは強く張る必要はありません。)そうして駒を立てた状態にしておいてください。駒の脚が表板にぴたっとついているように、指板の方向に倒さないように気をつけます。

(注)まだペグを回すことができない初心者のかたは、ここから先はご自分では無理です。ペグを回せる、チューニングができる人のところに持って行って弦を張り直してもらいましょう。

 

一番やってはいけないことは、駒を倒してしまうことです。弦が4本とも緩んでしまったからといって駒をチェロの本体から外して楽器ケースのポケットなどに片付けてはいけません。

駒を倒したり楽器から取り外してはいけない理由は、魂柱が倒れてしまうからです。

楽器のF孔から中を覗いてみると、直径が1センチほどの丸い棒が表板と裏板の間に突っ張るように立っているのが見えます。これを魂柱(こんちゅう)といいます。

この棒は表板の振動を裏板にまで伝えるための部品です。接着剤で固定してあるのではなく、表板と裏板の間に挟まっているだけです。

弦を張ると駒が大きなチカラで表板を押しつけます。その結果、表板と裏板の間の距離が狭まるので間にある棒が倒れずに立っていることができるのです。

駒を倒してしまったり取り外してしまうと、表板が裏板の方向に押しつけられなくなってしまいます。それでこの魂柱が倒れてしまうのです。一度倒れてしまった魂柱をもう一度同じ位置に立てるのには特殊な道具が必要で、楽器修理の職人さんにやってもらうしかありません。

というわけで、大切な魂柱を倒さないためには駒を立てて、最低限の圧力ででも表板を押しておく必要があるわけです。

次回は、チェロの弦が悲しくもケースの中で緩んでしまう理由についてお話しします。