G線ってD線より重いです。ちゃんと弾き分けていますか【その1】

2020年9月27日

チェロを始めたらたいていD線から習いますね。弓の持ち方に馴れ、D線が弾けるようになるといよいよ次の弦、G線です。

その時ぜひ、D線とG線の手触りの違いをしっかり感じ分けてくださいね。

教則本でもなかなかこのことについて触れていないので、うっかりするとG線もD線と同じように弓を動かしてしまいがちです。でも、この2本の弦の手触りの違いを意識して弾くと、どちらの弦もとってもきれいに響かせることができます。

その手触りの違いとは、

1. G線は着地したとき深さを感じます。 

溝でいうと、D線より深くて、溝の幅も広い感じ。そんな溝の中に弓が着地する感じです。

 2. G線にセットした弓を動かそうとすると、音が出始めるまでの引っかかる感じがD線より大きいです。

弓がなかなか動き始めません。また、動き出した後も重いです。「赤信号で止まっている車が青信号になって動き出すとき」に例えると、D線での発音(弓の動きはじめ)は軽自動車が発車するとき。アクセルを踏むとすっと車が出ます。

G線での発音はトラックやバスの発車。アクセルを踏んだら、ぐぅ~っと力がタイヤに伝わってゆっくり動き出します。そして動きも重いです。 

3. 弦の上に置かれた弓を跳ね返そうとする力がG線はD線より大きいです。 

だからG線の溝に着地した後、その溝の底から弓が浮き上がらないようにするために、D線の時より弦に密着する力が必要です。軽自動車とトラックやバスの車体の重さの違いのようです。D線の上を走る弓は「軽自動車」になったつもりで、G線の上を走るときはトラックやバスになったつもりでずっしり重く動いてください。

この時大切なことは、弓を右指で上から押さえつけるのではなく、弓自身を溝の中深くに留めておく感じで弾くことです。

4. G線の上で弓を動かすとD線よりねっとりとした感じがします。

スケートをしたことがある方なら思い出してみてください。D線はスケート靴でリンクの氷の上に立った感じ。足下がツルツルしてます。

G線はスケート靴でリンクサイドのマットの上に立った感じ。スケート靴がなかなか滑りません。

D線からG線に移弦してくると、乗ったとたんに弓が弦にねっとり張り付いたようになって動きにくいです。反対に、G線からD線に移弦してくると、乗ったとたんにツルッと滑っていきます。

言い方をかえると、D線を弾く弓は軽くすっと流れていきますが、G線を弾く弓はねっとりと動きます。

D線のような速さ、深さで弓を動かすとG線では音がかすれます。

慣れてくると、「弓がこう動きたい」と言っているのが手触りとして右手に伝わってくるので、右手がD線用、G線用と自動的に弾き分けて動くようになってきます。

この「弓と弦の関係」はちょうど、「車のタイヤと路面」の関係と同じです。運転好きな方なら「あ~あれね」とわかっていただけるのでは。

G線を習い始めたときにこのことをしっかり練習しておくと、その先のA線やC線に簡単に苦労なしに進めます。

そのためにも、右手の指は5本とも柔らかく、弓と弦を感じられるようにしておくことが大切なんですね。

だから、レッスンで「右親指を曲げて」とか「指を柔らかく」とかいつもうるさく注意されるんですね。 

次回はこの2本の弦の手触りの違いを理解した上で、実際に移弦をしてみましょう。